観光 2023.12.18
琉球王朝時代を感じる首里城跡
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ライター
三好 優実
https://note.com/yumi03
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Photographer
小橋川 恵里奈
主に雑誌、広告、ポートレイトなどを撮影している。
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琉球王朝時代の文化を感じられる城跡
2000年12月に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産登録を果たした首里城跡(しゅりじょうあと)。琉球王朝時代の国王が住んでおり、政治や文化の中心地とされていた「御城(ぐすく)」の城趾です。
中国の城に影響された朱塗りの門や建築物に赤瓦が合わさった、中国と沖縄の交流を思わせるデザインも見どころのひとつ。琉球王朝時代のさかんな交易が生んだ、琉球独自の文化を感じさせます。特に正殿は琉球王国最大の木造建築と言われ、華やかな装飾が施されています。2019年の火災により、建物の一部が焼失してしまいましたが、現在再建に向けて工事を施工中。工事中も歴史や文化が楽しめるよう、様々な工夫が行われています。
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18世紀以降をモデルに復元
琉球王国は1429年から1879年までの450年間にわたり存在した王制の国。中国や日本、東南アジアと盛んな交易があった中、王国の政治、外交、文化の中心として栄華を誇ったのが首里城です。そのため首里城は長い間、沖縄の文化や歴史を象徴する城として親しまれてきました。
そんな首里城ですが、琉球王国時代に3度焼失しています。そして1945年の沖縄戦により完全に焼失。戦後は跡地に琉球大学のキャンパスとなりましたが、大学移転後に復元事業が推進され、1992年に復元しました。復元後の首里城は18世紀以降をモデルに造られ、2000年12月に首里城跡が世界遺産に登録されています。ちなみに世界遺産に登録されたのは復元された建物ではなく、残された遺構(昔の構築物の一部が地面や地中に残った跡)です。
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火災により焼失。復興の歩みを体感できるのは今だけ
2019年3月には、正殿や破壊された城郭等を含むすべての復元が完了しましたが、同年10月31日に起きた大規模な火災により、正殿や北殿など8つの建物が焼失しました。これまでそこにあることが当たり前だった首里の象徴ともいえる首里城の焼失に、多くの人が悲しみましたが、県内外や国外からも多くの寄付が寄せられ、現在は再建に向けて着々と工事が進められています。
復興を心待ちにする人が多い中、文化財である首里城の復興は容易ではありません。ですが、技術者の人材育成なども行いながら、2026年に首里城正殿の復元完了を目標に掲げ、工事が進められています。
復興工事中は、見学エリアから復元工事の様子を臨場感たっぷりに見ることが可能。また、工事の解説パネルで火災の残存物、復元に使用した木材などの展示も実施され、日々変わりゆく正殿の復元を間近で見られます。首里城復興モデルコースや復興イベントの開催、復興工事から生まれた記念グッズの販売など、復興に歩む真っ只中である今だけの特別な催しも数々企画。今しか見られない光景をぜひ間近で見てくださいね。
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ガイドによる案内がおすすめ!
首里城は約50,000㎡もの面積を誇るため、なにも分からず巡るとただ散策して終わってしまうことも。もちろん景色や城の外観を見て楽しむならそれもアリですが、もっと首里城を知りたいという方には毎日開催されるガイドツアーがおすすめです(1人あたり1000円、小学生以下は無料)。首里城60分ぐるっとガイドツアーでは、琉球衣裳をまとった首里城解説員が、首里城を巡りながら琉球王国の歴史や文化を解説。「大龍柱補修展示室」や「木材倉庫・原寸場」など、復興が進む様子もリアルタイムで感じられます。
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琉球王朝時代の風を感じる
首里城は高台にあるため、城跡からの見晴らしは抜群!周囲の地形や、沖縄の伝統が色づく赤瓦屋根の家々、その奥に浮かぶ青い海と空をパノラマビューで見渡すことができます。王様が見た景色を想像しながら、湿度を帯びた風を感じているだけで、琉球王朝時代にタイムスリップした気分に。手入れされた芝生や、大きくそびえ立つガジュマルの木など、美しい自然に触れることもできるため、散策するだけでも楽しめますよ。
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INFORMATION
7月~9月 8:00~20:30
12月~3月 8:00~18:30
※一部有料あり
大人400円、高校生300円
小中学生160円、6歳以下無料